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joulukuu 29, 2004

■誰もインストールしない

 渋谷で映画を二本見る。是枝清和『誰も知らない』と、片岡K『インストール』(原作:綿矢りさ)。目覚めると雪がちらほら、外出すら控えたいが、この寒さはいい演出だった。晴れた日は映画に集中できないんです、僕。
・まずはお昼前に『誰も知らない」、だってスチルが川内倫子、いちいち画がきれいです。よくよく思えば光にあふれた映画だった。このことと、場面の組み方が、この話の感情を増幅させているっぽい。ふだんの記憶の様式に近いのだ。シーンの切り方の大雑把さとか、カメラのアングルとか。だからこそ子供らへの感情移入が違和感なく起こるのだろう。こういうことをさせると、是枝清和はほんとにうまい。この映画は「明」がなぜあの場所を最後に選んだのか、そこから逆算して作られた。それからパンフレットを見直したら、なおのこと、じんときた。パンフレットだけでも、読める。
・インターバルを2時間ほど置いてから、新しくできたピカソ347にあるアミューズCQNで『インストール』。女の子の妄想を覗くと思うとドキドキしたのはただの助平か。しかし監督が片岡Kと聞いて驚く。片岡Kと言えば、ぼくを夜型生活に変えた深夜番組『文學ト言フ事』の演出ではないか。そして初めて好きになった女優・井出薫をサクッと奥さんにした男ではないか。そんなことを考えていたのだから、上戸彩がどうとか大して考えなかった。でもかわいかったです。
 話そのものは音楽つかいすぎ。テレビじゃないんだからそんなに音入れなくても大丈夫だろう。音を入れすぎると安っぽくなるぞ。入れないと不安になるんだろうか。ポップアートみたいな真っ赤な仕上がりの、今風ロリポップな映画に仕上がっていた。『文學…』的な「光」もこっそり登場していて、少し懐かしくて嬉しかった。
 おかげさまで原作を読みたくなりましたが、コナンみたいな利口な小学生を持ち出すあたり、とても女の子の妄想っぽい。そしてインストールという言葉をリセットの代わりに使えるあたり、新しい感覚。この使い方はいいんじゃないか。むしろリセットより正しいと思う。HDに上書きしてるんだから。話としての真新しさはないけれど、17歳の女の子が書いた話だとするなら…書く事で何か越えられたんじゃなかろか。私小説的なところは切り捨てて書いてるんだとしても。読むか、『インストール』。

・けっきょく大掃除は何もしない。旅もまだしてない。

投稿者 shoshirock : 29.12.04 22:40

コメント

あけましておめでとうございますっ!
たまには温泉にでもいきましょう~。

http://www7a.biglobe.ne.jp/~bunbun

投稿者 ますお : 02.01.05 12:16

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